キャットシッター猫屋敷 相棒猫日記





相棒猫日記

VOL.33 キャットランならず
/2004年5月12日・水曜日




引っ越し前の新しい事務所に、うめちゃんを連れて行ってみることにした。
これから1日の半分を過ごす場所を見ておいてほしいという思いと、何も運び込まれていない広々とした場所でポコン遊びをして、思い切り走ってほしいという思いがあった。

きっと喜んでくれるだろうと、ワクワクして向かった新しい事務所。
「うめちゃん、着いたよ」。バッグを開ける。
うめちゃんがそっと顔を出し、ゆっくり、まわりのにおいを確かめるようにクンクンと鼻を動かしながら、一歩また一歩と外へ出る。

出たと思った次の瞬間、私の期待とは裏腹に、うめちゃんは、走りまわるどころか、部屋のすみ、しかも、開いたままのドアと壁の間に身をひそめてしまった。
一瞬の出来事。

ここで、ようやく気が付いた。そうか、うめちゃんは、初めての場所がこわいのだ。
広い場所なら、たくさん走ってたくさん遊べると単純に考えていた私は、うめちゃんの気持ちを少しも考えていなかった申し訳なさに、ドキンとする。

うめちゃんを静かに抱き上げて「ごめんね、うめちゃん。大丈夫、こわくないよ」と言いながらゆっくり部屋の中を歩く。
途中、腕の中で身をよじり、うめちゃんが「降りる」というので、そっと床に降ろす。

クンクン、クンクン…、一人で歩き始めた。
私はうめちゃんを見つめるしかない。
ひととおり探検を終え、私の足元に戻ってきたうめちゃん。
当然のことながら、喜んで走り出す気配など少しもない。
ドッグランならぬキャットランだ、などと一人でウキウキしていた自分が情けない。



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