キャットシッター猫屋敷 相棒猫日記


相棒猫日記

VOL.65 猫さんたちみんなに、心からありがとう<最終回>





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茶トラのたま

その昔、たまと名付けた茶トラの猫を病気で亡くした。
以来20年近くの間、動物と暮らすことを意識的に避けていた。
もう二度と、あんなにつらい想いはしたくない、というのがその理由だ。

たまを亡くした時、泣いて も泣いても涙は涸れず、何日間も目を腫らして学校に通い、家に帰ってはまた涙する日々を過ごした。

早く病気に気づいてあげられなかったことへの後悔や反省や懺悔の気持ちや悲しみや…いろいろな感情が押し寄せてくる毎日。

一ヶ月を過ぎても、一年を過ぎても、そして十年を過ぎてもそれらの感情が薄れることはなく、たまとの楽しい思い出話をしていても、やはり最後には涙が出てきてしまうという始末。

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私の人生で、最初の猫との出会いがたまであり、私はたまを通して、猫の魅力を知ったことになる。たまへの愛しい想いは、今でもずっと変わらず私の胸の中にあり、これからも決してなくなることはないだろう。

大切な命を亡くした時の心の痛みは決して消えることはないけれど、時間の経過と共にうまく折り合いをつけていけるようになるものなのかもしれないと、最近になってそう思う。

5年前、甥と姪が「猫と暮らしたい」と言った時、実家の母は、私がたまのことを思い出して、またつらい想いをしてしまうのではないかと心配するという、優しい心配りをみせてくれた。

しかし、幼い甥と姪が猫と暮らすことをとめる権利など、私にあろうはずがない。
猫と暮らすことがどんなに素晴らしいことなのかを、私は十分に知っているのだから。
きっと彼らは、猫との暮らしを通して、たくさんのことを感じ、学び、考えることになるだろう。
そうして実家に迎えられたのが、甥と姪によってパチャと名付けられた猫だ。






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うめちゃんとの出会い

そしてそれから数ヶ月後、私に、うめちゃんとの出会いが訪れる。

夜遅くから明け方までやむことのなかった猫の声。
切羽詰まったようなその声は、隣の駐車場から聞こえていた。
朝になり、一瞬、それまで懸命にないていた猫の声がやんだ。
どこかへ行ってしまったのだろうかと思っていた次の瞬間、聞こえてきたのは、さきほどまでよりも、ずっと近くから聞こえる猫の声。

「来た!」私は思った。猫が、ドアの前でないているような気がしたのだ。
「まさか」という思いと「絶対に来た」という半々の思いの中ドアを開けた私は、案の定と言うべきか、小さな小さな猫とはじめての対面をとげる。

「たまで悔いを残した分、今度はもっと上手に、もう一度、猫と暮らしてごらん」と神様が私にチャンスをくれたのではないか。

この小さな猫を、たまの魂が私のところへ導いたのではないか。
実はこの子は、たまの生まれかわりで、たまがもう一度私と暮らすためにやって来てくれたのではないか…。
まさに私のところに、私を選んで来てくれたとしか思えないうめちゃんとの不思議な出会いについて、そんな風に考えたのは、一度や二度ではない。

うめちゃんが2歳を過ぎた頃、ももちゃんを弟として迎えた。
うめちゃんはももちゃんを受け入れてかわいがってくれ、ももちゃんはうめちゃんをお兄ちゃんとして頼っているようにみえる。

お互いにちょっかいを出しあったり、遊びが行き過ぎて、いつの間にかおすもうごっこになっていたり、追いかけっこになっていたり、うめちゃん、ももちゃんとの毎日は私を笑顔にしてくれる。
やさしさや穏やかな空気や笑いや…、ふたりからもらうものは、限りなく大きい。
うめちゃんとももちゃんに支えられてのしあわせな毎日だ。
これだけたくさんのしあわせをもらって、私はふたりに、どんな恩返しができるだろう。






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出会いの不思議

一昨年、南里秀子さんにお会いする機会があった。
南里さんは16年前から、東京を拠点にキャットシッター(一言で言えばベビーシッターの猫版)のパイオニアとして活躍する方。

出会いから数ヶ月。
南里さんから「本気でキャットシッターを目指さしてみないか」とお声をかけていただき「どうぞよろしくお願いします」と即答。

何の迷いもなく、キャットシッター養成講座に通った。

何事にも慎重で頭でっかち、石橋を叩いて渡るタイプの私には珍しいこと。
長い人生の中、流れにのってみるのも悪くない、むしろ大切なことなのだと、今になって改めてそう思う。
たまとの出会い、うめちゃん、ももちゃんとの出会いが今、私の人生を大きく変えようとしている。
キャットシッターとして、お家でお留守番している猫さんをサポートするのに加え、すべての猫さんの、そして、猫さんと暮らすパートナーさんの快適としあわせを提案したいという願いから、でき得る限り自然素材を使った、猫さんのためのグッズの企画・製造も開始。
猫さんのしあわせな姿を見るのは、猫さんと暮らす私たちにとっては何よりもしあわせなこと。
私たちがしあわせでいることが、猫さんの何よりのしあわせ、そんな想いがある。






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新しい道

たまと暮らしていた頃、将来はもっとたくさんの猫さんと暮らし、近所の子供たちが猫さんと遊ぶためにやって来る「猫屋敷のおばあちゃん」になりたいと思っていた。猫さんとの暮らしが、とてもとても素晴らしいものだと感じてくれる人がいればいい。
そんな想いがあり、社名は「猫屋敷」に決定。

たま、パチャ、そしてうめちゃん、ももちゃんとの出会いがなければ、決して踏み込むことのなかった道。

そして何よりも、プロのキャットシッターになるよう導いてくださった南里さんとの出会いがなければ、決して開かれることのなかった道。

ひとつひとつ、すべての出会いに感謝し、この道を信じ、また、この道を歩むことを決めた私自身を信じて、一歩一歩確実に、誠意をこめて進んでいきたい。

うめちゃん、ももちゃん。そしてすべての猫さんがしあわせでいてくれるように。
天国で待っていてくれるたまに、「頑張ったね」と言ってもらえるように。
ありがとう、ありがとう。本当にどうもありがとう。
すべての出会い、すべてのご縁に心からありがとう。
そして、これからもどうぞよろしくお願いします。



2008年4月記



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